『波の音、彼の音、僕の音』
波の音が遠くからも近くからも聞こえるような場所で、彼はつぶやいた。
「きれいだな」
彼が発した音は、波の音と不協和音を奏でながら、僕の耳に雑音として入ってきた。
「何か言った?」
「うん。きれいだなって言った」
いたずらを仕掛ける子供のような、また、どこか諦めたような表情で彼は答えた。
波の音と美しく調和した彼の音の意味を、僕は理解しようとしなかった。
「……少しは元気出た?」
彼は気まずそうに音をつないだ。
「お前は何も悪くないよ。女のほうがクソ……いや、女の見る目がなかっただけだよ」
僕は聞こえないフリをした。そして、彼の気持ちに気づかないフリをした。
「……ラーメン、食べたい」
自分の気持ちにも気づかないフリをして発した、適当で小さな音。
「いいじゃん! オレ、とんこつの気分」
「僕はとんこつの気分じゃない」
波の音が遠くからも近くからも聞こえるような場所で、僕たちは笑った。
あとがき
じれったいけどなんかもう君たちが笑ってくれているならそれでいいよ!という気持ちで書いたお話です。
全体的にふわっとしたストーリーなので、皆さまの解釈や感想など、お気軽にコメントしていただけますと嬉しいです!
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【note】
https://note.com/moemo_aihane/n/n56ab0739f000
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